2013年08月18日

シュタイナー、読み書き、バイリンガル

 うちの娘は、ご存知かもしれないが、NZのシュタイナー学校に行っている。現在、2年生だ。

 ニュージーランドの学校は、普通、子供が5歳の誕生日になると同時にはじまる。これ、ピンとこないと思うが、最初は1年生というよりも「Entrant(新入生)」クラスに入り、しばらくそこで過ごす。そのうちに学力等を判断されて、何人かずつ「1年生」クラスに入る、ということらしい。一度「1年生」になると、問題等がないかぎり、1年ごとくらいに「2年生」になるようだ(←ちょっとあいまい)。

 学校に入ると、新入生の5歳児たちは、すぐにアルファベットや読み書きを習い始める。そして、入学した日から宿題を出される子たちもいるようだ。

 一方、シュタイナー学校は、日本の学校と似ている。全ての生徒は学校に入るまでに6歳になっていなくてはならず、2月に同時入学する。うちの娘は6月生まれなので、入学したときには6歳8ヶ月だった。そこまで、アルファベットや読み書きは特に教えていない。

 そのために、「シュタイナーの生徒はもう7歳や8歳なのに読み書きもちゃんとできない」と批判されることがある。親がシュタイナーを選ばない最大の理由とも言えるだろう。が、さまざまなリサーチから、10歳を過ぎるころからシュタイナー学校の生徒は通常の学校の生徒に追いつき、さらに追い越して行く確率が高いと言われている。読み書きはしていなくても、耳から複雑な深い意味のある言葉を聞いて学んでおり、内容を理解しているので、のちにそれを文字で見ることになったときに理解力が優れている、ということであるらしい。考えてみれば、通常の学校で5歳児に読ませることができるのは「Cows go moo, and fish go bubble bubble」くらいのものであろうが、同時期にシュタイナーの幼稚園では「長靴下のピッピ」などを読み聞かせてもらっているわけだから、学ぶ語彙の幅が大きく違うのではないかと思う。また、それでよいと、親が信じていなければ、シュタイナーには行かせられないのである。

 さて、我が家は、というと、妊娠中から早期教育の本などを読みまくって、ドーマン式のワードカードからDVDから、何もかも揃えていたクチである。しかし、子供が生まれてみると、どうも押し付ける気にならず、いろいろ考えた末に「本(=お話)が好きになるのがまず一番」という結論に達した。

 そのため「いっぱい本を読んであげる」(私も楽しい)+童謡などをいっぱい聞く、を拠り所としてここまで来た。

 正直、「これだけ読んでれば、自然と(英語も日本語も)文字を覚えて行くんじゃないかしら」とも思っていたが、幼稚園後半に入っても、一向にその気配がなかった。

 そこで、英語は学校に任せるとして、日本語はやはり教えて行こうと、ひらがな・カタカナなどを、たしか5歳くらいからちょこちょこ教えてきた。漢字もちょっと教えてみたが、どうも食いつきが悪いので、そうなったらすぐ「読み聞かせ」に戻った。

 1年生に入ってから、ひらがなは大分読めるようになったので、『いやだいやだ』とか『ごあいさつあそび』とか『でんぐりでんぐり』など、赤ちゃん向けの本を選んで、私に読んでもらうことにした。少しずつ、読めるようになって、年末くらいには、「こどものとも」の短いものならば苦労なく読めるようになってきた。日本の学校にも10月にちょっと通ったけど、1年生の授業には問題なくついて行けるようだった。ここまでは上出来と言えよう。

 一方の英語である。小学校に入学して半年くらい経った時点で、娘がどのくらい読めるのかなあ、と思って見ていたのだが、一番長いものでラッセル・ホーバンのフランシスシリーズにある"A Birthday for Frances" (http://www.amazon.com/books/dp/0064430073)くらいのものだった。それも、何度も私が読んであげてから、気に入って自分でも読めるようになって(「これ好きなの。だって、ママが読んでくれたから、自分でも読める」と言っていた)、今度はお人形のくまちゃんにも読んであげる、というくらい。まあ、7歳にしてはお粗末なものと言われかねないくらい、たいして読めないわけだ。こんなに読み聞かせしているのになあ、とも思うが、焦るな、焦るなである。

 まずいんじゃないか、と思ったときに思い出していたのは、近所でシュタイナースクールに行っている5歳年上の女の子のこと。この子がまだ2年生のとき、幼稚園に通っていた娘に絵本を読み聞かせをしようとして、ものすごく下手だったのを覚えている。2年生なのにこんなに読めないのか! 大丈夫なのか、シュタイナー? と私は心の中で思っていたのだが、その子も現在13歳になって、ものすごい読書量なのである。それに、すばらしい文章力を持っていて、芝居の台本なんかも書いちゃうのである。他の子供の成長を見ることによって、その道を確認できたのはありがたい。

 ともあれ、昨年末の時点で、日本語と英語の読解力を考えた場合、同等か、日本語の方がちょっと上かな、というくらいだった。

 ところが。今年、これが激変した。してしまった。私が娘を置いて日本に行っていた時期が長かったこともあるだろうが、英語の読解力が飛躍的に伸びた。

 おそらく、最初に自信をつけたのは、自分で"Swallows and Amazons"を読んだときではないだろうか。私はたしか、小学校の5〜6年生でこのシリーズにハマった覚えがある。ニュージーランドでも英語版を購入していて、昨年からずっとパパが読み聞かせていたんだけど、昨年末か今年になってから、自分で読み直して、1週間で読み終わった。結構難しい言葉が出てくるので、「おお〜」と思ったのだが、それ以来、チャプターブック(章立てしている本)が怖くなくなったのかな。ローラ・インガルス・ワイルダーの "Little House in the Big Woods" "Farmer Boy"、アストリッド・リンドグレーンの "Pippi Longstocking" など、年相応から1〜2歳上のものまでで、一気に読めるようになってきた。薄い「レインボーマジック」シリーズなどは、30分くらいで読んじゃうんじゃないかな? この間、担任の先生との面接でも、読解が飛躍的に伸びて、4〜5年生並みということだった。

 一方、日本語の方はさすがに遅れてきた。いまだに「こどものとも」でやっとである。「こどものとも」でも長いものになると、面倒くさくなっちゃうらしい。書きにいたっては、やはり機会がないことが災いして、まあ、文章力は存在しないに等しい。

 まあ、日本語の本も嫌がるほどではないので、それは良しかと思う。漢字の勉強も、一応しぶしぶ続けている。あと数年したら、「論理エンジン」というのを導入して、日本語の論理(文法?)を教えたいと考えているのだけど、どうだろうか? 難しすぎるだろうか? 大体、高そうだけど、本当に良い教材だろうか? 

 生まれる前から、言葉の習得については考えて考えてきたけど、やはり実際にやってみると、迷うことばかりだ。自分でやる気になってくれるのが一番いいんだけど、それを待っているわけにもいかない、とも思う。あと数年は、親の押しつけかもしれないけど、日本語もみっちりやらせていきたいと思う。

 ちなみに、今読んでいるのは福音館の「おおきなポケット」シリーズ。もう廃刊になってしまっているシリーズだが、薄いから買ったのだ。「こどものとも」「かがくのとも」の続きの小学生版だけど、内容が多いからか、当たり外れも多いように思える。一方、「たくさんのふしぎ」シリーズは素晴らしい。自分で読むにはまだ難しいだろうが、読み聞かせをぼちぼちしている。読み聞かせにも難しいものもあるが、それはちょっと待つことにしよう。物の捉え方、切り口、深み、まとめ方など、うなりたくなるほど素晴らしい。このシリーズは、ずっとずっと、取っておくことにしようと思う。

 長々と書いたが、言いたかったことは「シュタイナー学校に行っても、ちゃんと読解では追いつきました」ということと、「やはり外国で日本語を教えるのは難しいです」ということである。言語習得への道、これからもまだまだ、山道である。
posted by うずめ at 19:38| Comment(4) | TrackBack(0) | 8歳 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
突然のコメント失礼します。来年の今頃から一年半オタゴ大の薬学部に留学を考えているものです。家族を帯同させようか迷っております。一番上が今年八歳、真ん中が四歳、下が一歳です。こちらには日本語学校もないようですし、英語が全く話せない子供たちのことがやはり心配です。一年間英会話教室には行かせようと思うのですが、なんとかなるものなのか見当もつきません。もしよろしければお話しをお聞かせ願えないでしょうか?ダニーデンの情報がほとんどないので、ご連絡をいただけると大変助かります。どうぞよろしくお願いします。
Posted by こうた at 2013年10月06日 23:57
こうたさま、

 はじめまして!
 お返事が遅くなりまして、失礼しました。
 ご家族、是非連れていらっしゃるといいですよ! こちらには、同じように1年〜1年半、ご家族連れでいらっしゃる研究者の方が多く、子供達もみな、英語が分からなくてもなんとか楽しくやってます。英語がわからない子供を対象としたクラスを持っている小学校もありますよ。きっと、忘れられない体験になりますよ! 私達は親同士で「日本語クラス」「日本語グループ」みたいなこともやっています。是非、ご参加くださいね。いろいろ喜んでご説明しますが、どちらにご連絡すればよろしいでしょうか? 
Posted by うずめ at 2013年10月09日 01:07
うずめさま
お返事ありがとうございます!とても嬉しいです。ブログの内容、拝見するととても楽しそうなので、行きたい気持ち募る一方で、実はNZは行ったこともないので、かなり不安だったので、勝手に安心しています。
さて、連絡先ですが、以下のアドレスにいただけると助かります。
shinta1224jp(at)gmail.com
(At) を@に変換して下さい。
どうぞよろしくお願いします。
Posted by こうた at 2013年10月09日 08:49
だいぶ遅れてのコメントになりますが・・・。

英語の世界ににいながらの日本語の習得ってほんとに難しいでしょうね。
我が家は他国で日本語の世界にいるわけですが、今回の一時帰国で、小学校2年〜3年で読むといいと言われている本を沢山仕入れてきました。
(こちらでは入手出来たとしても高額なので)
本が大好きな娘はどんどん読んでしまって、仕入れた意味がないぐらいなのですが、同じ学年でも読めない子は読めないので、親が読んであげているようです。娘っこが読む本はもう絵本ではないのです。
参考までに。

グリム童話
ケストナーの「エーミール」シリーズ
リンドグレーンの「やかまし村」シリーズ
世界の昔話、日本の昔話などなど

学校の中にも立派な図書室があって日本語の本もいっぱいあるのですが、借りて来るのはマンガやゾロリ、プリンセスシリーズといったもので、あまり想像力を使うようなものではありません。
そういうのに強く惹かれてしまうようなので、せめて家では、と思って仕入れてきました。

NZに行くことがあれば、30年近く前のお宝、こどものとももたくさんありますし、持参します!
Posted by nemo at 2013年12月19日 09:09
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